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東京商工リサーチが5月9日に公開したデータ(※1)によれば、2017年度の歯科医院の倒産件数は20件で、前年度比81.8%の増加となった。2016年度の歯科医院倒産件数が11件ということを考えると、ほぼ2倍に増えたことになる。歯科医院の倒産件数が20件台に乗ったのは、1994年度以来とのことだ。

2017年度中に倒産した歯科医院の負債総額は11億500万円で、5年ぶりに増加に転じた。これは倒産件数の急増によるものと考えられ、大型歯科医院の倒産は稀だ。倒産した歯科医院を個別に見ても、負債1億円未満が20件中18件を占めており、小規模歯科医院の倒産が大半を占めている。ちなみに負債5億円以上の大型の倒産は、2年連続でゼロである。

背景には歯科医院の競争激化

歯科医院の倒産件数が増加した背景には、歯科医院間での競争の激化がある。

少子高齢化の影響で、歯周病や補綴治療のニーズは高まっていると考えられるものの、全国的な人口減少や勤務歯科医師・歯科衛生士の不足による人件費の上昇が深刻化しており、そのしわ寄せが小規模歯科医院を直撃したものと考えられる。

なお、東京商工リサーチのデータによると、歯科医院の倒産の原因として最も多いのが「販売不振(12件)」である。

歯科医院の再建は容易ではない

「倒産」には、大きく分けて「破産」と「民事再生」がある。前者の場合、法人組織は事実上消滅するため、歯科医院として再生することはできなくなる。一方後者の民事再生の場合、歯科医院としての再建を目指して法人組織を立て直す目的がある。

2017年度のデータを見ると、倒産した20件のうち、19件が「破産」であり、民事再生を受けた歯科医院は1件にとどまった。

このデータについて東京商工リサーチは、「いったん顧客離れが進んだ歯科医院の再建は容易でない」と分析している。

歯科医院の倒産、今後も増加傾向か

先月(2018年4月)だけを見ても、2件の歯科医院が倒産している。東京商工リサーチは、人口減少や人件費増大の煽りを受け、歯科医院の倒産は今後も増加の一途をたどるだろうと予測している。

日本の人口は、データを見ても急速に減少しつつある。もちろん、東京も例外ではない(※2)。ところが、歯科医院の数は相変わらず微増傾向にあり(※3)、人口対歯科医師数は増える一方である。

このような歯科医院経営を取り巻く状況のなか、今後もいっそう、患者の獲得競争が激化していくものと考えられる。

人口減少社会における歯科医療の在り方検討を

都市部に開業している歯科医院は、内装や接遇、Webのデザインに配慮するなど、近隣の医院との差別化を始めている。しかしそれでは、単にもとある患者数のパイを奪い合っているだけに過ぎない。

歯科医療業界をうまく回すには、そういった小手先のマーケティングに終始するのではなく、予防管理や全身との関連など、歯科医療の概念・領域を拡大していくことが重要なのではないだろうか。

参考文献

  1. 2017年度「歯科医院」の倒産状況(URL), 東京商工リサーチ, 2018年5月11日早朝閲覧.
  2. 平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況, 厚生労働省, 2017.
  3. 平成28年(2016)医療施設(動態)調査・病院報告の概況, 2018.

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