マウスピース矯正の出張研修で日本全国を飛び回り、「歯並びから笑顔を作る」ことを仕事にしている歯科衛生士がいます。

歯科衛生士・歯科スタッフの新しい働き方について、株式会社Blanche代表取締役の穴沢有沙さんにインタビューしました。

穴沢 有沙(あなざわ・ありさ)1983年愛知県生まれ。歯科衛生士、株式会社Blanche代表取締役。2004年愛知県立歯科衛生士専門学校卒業後、歯科医院や三菱東京UFJ銀行での勤務を経験し、フリーランスに。2018年に株式会社Blancheを創業、インビザラインの歯科医院向け出張研修を全国各地で行っている。

出張研修で全国の歯科医院へ

ーーマウスピース矯正の出張研修を始めたのはなぜですか?

私たちスタッフが外部の研修に行っても、学んだことが歯科医院に活かされずに終わってしまう場合が多いと感じています。実際私自身も、自分ひとりで院長にプレゼンした時に「それうちでできると思ってるの?」と一蹴されたことがあります。ひとりだけで歯科医院を変えることは非常に難しいと感じました。

「だったら歯科医院まで出向いて、みんなで研修を受けてもらおう」と思い、出張研修を始めました。院長先生も一緒に研修を受けていただくので、みんなで相談して必要なことはすぐに導入することができるんです。

ーーそれを実現するのは、すごい行動力だと思います。

歯科医師であれば「もっとクリニックを大きくしよう」「興味のある根治を勉強しよう」などといった目標を持っていらっしゃる方が多いと思います。では歯科衛生士や歯科助手はどうでしょう?一部の意欲のある方もいらっしゃいますが、目標を持てずに「仕事が面白い」という感覚を持てないスタッフさんが多いように感じます。

私も歯科衛生士になって最初の数年間は、そんな状態でした。上司や医院に対する不満をグチグチ言っていて、今思い返すととても勿体無い時間を過ごしていたなと反省しています。

でもある時、インビザラインを担当した患者さんに「穴沢さんに言われて矯正して良かった」と言われたんです。歯科衛生士として認めてもらえたことを実感しましたし、私でも患者さんを変えられるんだ、と気付いたんです。

「人を喜ばせたい」とか「患者さんの満足度を高くしよう」といった仕事の楽しさを、他の歯科衛生士や歯科助手の方にも感じてほしくて。今は仕事が面白いですし、会う人にはたいてい「穴沢さん、すごく楽しそうだよね」と言われます(笑)。

穴沢有沙(歯科衛生士・株式会社ブランシュ)インビザライン出張研修

銀行員時代に学んだスキル

ーー歯科衛生士を辞めて銀行に転職したりしています。

銀行に転職したのは色々な世界を見てみたいと思ったからなんです。歯科業界はすごく狭い世界じゃないですか。名刺交換やメールの書き方なども習わないし、就職活動もそんなに大変じゃない。 一般常識を身につける機会が極端に少ないと思うんです。

でも歯科医院で私たちが対応する患者さんは、一般常識を持っている「異業種」の方ばかりなんです。言葉遣いや対応の仕方が間違っていてクレームになることも少なくありません。

ーー患者さんに対応するスキルは重要ですからね。

歯科医院は、異業種の経験をもつスタッフをもっと大切にするべきだと思います。新しい風を取り入れて発展できるタイミングだからです。そして私たち歯科衛生士は外に目を向けて、さらに広い視野を持つべきです。

ライセンスの有無に関わらず、皆が自信を持って働ける歯科業界に変えていきたいんです。「歯科医院で働いているなんてすごいね!」と言われるような世界にしたい。

穴沢有沙(歯科衛生士・株式会社ブランシュ)インビザライン出張研修

出張研修での様子

目指すは「自信を持って笑える社会」

ーーそんな世界にするには、何が必要なんでしょう。

「歯の価値を上げる」ことが最も重要だと思います。歯科医院は治療途中の中断や無断キャンセルがとても多い。患者さんにとっての歯の価値を上げれば、会社を休んでも来院しようという考え方になる方も増えるはずです。

現状はそうではないので、医院側も20時、21時まで診療しなければならなくなっていて、長時間労働につながっています。歯の価値を上げることで、私たちの働き方も変わってくるのではないでしょうか。

ーー穴沢さんにとってのビジョンを教えてください。

心から「自信を持って笑える社会」を作りたいです。生き方として自分に合った働き方をすることはもちろんですが、「歯並びが綺麗だから歯を見せて笑いたい」と思える笑顔の素敵な人をたくさんサポートしたい。

私はインビザラインや矯正という分野から、歯の価値を上げていく。皆が自信を持って、笑顔で働くことができる社会を作っていきたいと思っています。