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エビデンスに基づいた診療のための連載「詳解・歯科診療ガイドライン」。今回のテーマは、臼歯部隣接面をいかに修復するかという問題だ。臼歯部隣接面、すなわち2級窩洞に対する直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績には、違いがあるのだろうか?

実際の臨床現場では、感覚的に修復方法を選択していることも多いと推測されるため、今回の記事では日本歯科保存学会が刊行している『う蝕治療ガイドライン 第2版』から、同学会の立場をご紹介しよう。

コンポジットレジン台頭の背景

わが国における臼歯部隣接面の修復処置においては、金銀パラジウム合金による鋳造修復、すなわちメタルインレー修復が保険適用されてきた。その背景もあり、他の先進諸国と比較してコンポジットレジン修復よりもメタルインレー修復が、臼歯部隣接面の修復において支配的だった歴史がある。

しかし近年、コンポジットレジンの接着システムの信頼性や簡便性、また審美性も大きく技術革新されてきたなかで、臼歯部隣接面の修復においても、必ずしもメタルインレー修復が第一選択であるとは言えなくなってきている。

日本歯科保存学会の立場

さて、この件に関して日本歯科保存学会は、どのような立場を取っているのだろうか。『う蝕治療ガイドライン 第2版』から引用してみよう。

臼歯隣接面(2級窩洞)に対するコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に有意な差はない(エビデンスレベル「Ⅴ」)。しかし、コンポジットレジン修復は、MIの理念に基づいてう蝕除去を行うため、健全歯質を可及的に保存し、審美的な修復ができる。よって、確実な接着操作とコンポジットレジン填塞操作が可能であれば、臼歯隣接面(2級窩洞)に対して直接コンポジットレジン修復を行うことが推奨される。(推奨の強さ「C1」)

ガイドラインのなかでは、いくつかの関連論文の検討が行われた。その結果、臼歯部隣接面(2級窩洞)に対する直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績には有意な差は認められない、と結論付けられている。なお、臼歯部咬合面の場合には、審美性の観点からも、MIの観点からも、メタルインレー修復よりもコンポジットレジン修復を選択すべきである。

しかし、臼歯部隣接面の場合は、症例ごとに窩洞の形態や修復の難易度が大きく異なるという特殊性があるからやっかいだ。いくらコンポジットレジンの物性が向上したところで、直接法で確実な防湿や接着操作、填塞操作ができない症例であれば、臨床成績は低くなるだろう。

可能な場合はCRの選択を

したがって、今回のクリニカル・クエスチョンに対する日本歯科保存学会の立場は明確である。

それは、コンポジットレジンで修復できるならコンポジットレジンで修復した方が、MIの観点からも、審美性の観点からも臨床成績が良好だが、それが現実的に可能な場合に限られる、ということだ。

今後も、う蝕治療ガイドラインがアップデートされるごとに、最新情報をお届けしていく。これまで歯科医師個人の経験に委ねられていた治療法の選択を、学会のガイドラインが名言したことは非常に意義深いことである。

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