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歯科医療を革新するかもしれないアイデアをご紹介する連載『世界の歯科スタートアップ最前線』。第1回は、Airbnb風の「移動型」歯科クリニックを取り上げる。

歯医者はとにかく面倒くさい

「歯医者に行くのが面倒くさい。」この感情は多くの日本人が抱いているのではないか。実は、米国においても同様の課題があるようだ。アメリカ歯科医師会の調査によると、ミレニアルズが歯医者を避ける最大の理由の一つに、「歯医者に行くまでが面倒」が挙げられている。

原因は、”歯医者=不快な場所”といったイメージにあるようだ。歯を削る音で恐怖感を抱かせるばかりか、独特な臭いがし、しかもお金が高い。多くの人にとって歯医者は、できれば避けたい場所なのである。

Airbnb風 移動型歯科クリニック

歯科の疾患があるにも関わらず、歯医者嫌いで多くの人が来院できていないといった現状に目を向け、米国で登場したサービスがある。その名も、”リディアン・モバイル”だ。

リディアン・モバイルは、提携している企業の元へ(下画像)のようなワゴン車で出張する。

従来もこのような移動型歯科クリニックは存在していた。しかし、車内は、狭くて室内のデザインも洗練感はなく、ユーザー体験は心地良いものではなかったそうだ。それに比べ、リディアン・モバイルは、中がとてもオシャレでAirbnbを連想させる内装だ。

リディアン・モバイルは、2014年に開始したスタートアップで、このサービスを開始前は、アリゾナ州とテキサス州に洗練感ある内装で歯科クリニックを開業していた。

綺麗になった記念に撮影するフォトブースやチョコレートバーなど、ユーモアあるサービスを提供し、歯医者の憂鬱さとは無縁の空間を築いてきた。今回の新しく開始した移動型歯科クリニックにおいても、歯医者を感じさせないユーザー体験を提供する空間となっている。

さらに、リディアン・モバイルはただの洗練された移動ワゴン車ではない。ユーザーはオンラインで時間帯を予約し、時間になったらデスクを離れ、リディアンのワゴン車まで直行することで、待ち時間なく受診できるようだ。より安価なサブスクリプション型の診察から修復まで一貫したプランが人気だと言う。

歯科ニーズは表面化してきた

現在、このサービスは便利で、手頃の価格で、まるで旅のように歯科を楽しめるスペースをコンセプトとしており、テキサス州のみ展開中だ。

まだ小規模であるが、米国ではここ数年で、より患者にとって簡便・安価でユーザー体験を高める方向に価値設計がなされた歯科を含めた医療スタートアップが多く登場している。今回紹介した、リディアン・モバイルもその一つだ。

日本では、健康経営(※1)を取り入れる企業が増えてきたものの、歯科においては、治療が必要であるにも関わらず、受診できていない人はまだまだ多い。米国との差が開く前に、日本の歯科も、現代の患者のニーズを今一度見直し、新たな試みを増やしていく必要があるのではないだろうか。

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参考リンク

※1「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。経済産業省が推進している。