歯科医師国家試験グループに参加

最近の国試は丸暗記で解答できる問題が著しく減少し、臨床上のトピックが多く出題されるなどの驚くべき進化を遂げています。

本連載では歯科医師国家試験の「いま」を分析し、傾向と対策について述べていきたいと思います。お子様が歯学部に通学されている先生方、現在の国試に感心がある先生方にもお読みになって頂ける内容にしていきますので、是非お読みください!

はじめに

近年の歯科医師国家試験は難化傾向にあると指摘されています。私は国試対策のフリーの講師として、国試に関するカウンセリングを行っているため受験生の方や保護者様とも面談する機会が数多くあります。その際に近年の国試の状況についてコメントをさせて頂くわけですが、国試の傾向の変化を把握されていない方が意外と多いことがわかります。

私の場合、保護者様が歯科医師の場合には、カウンセリングの際に現在の国試問題を見て頂くようにしています。そうすると、現実の臨床に即した問題や丸暗記で解けない問題が多いことに驚かれます。そうなんです!現在の国試は、過去の国試とはまるで次元が違う出題になっているのです。

本稿では2018年2月に実施された第111回歯科医師国家試験について検討し、受験生が行うべき今後の対策について具体的に考察していきたいと思います。

受験生以外の方でも参考になる内容にしていきたいと考えておりますので、お子様が歯学部に通学されている先生方、最近の国試に興味がある先生方にも是非お読みになって頂ければと思います。

第111回歯科医師国家試験を振り返る

出題基準の変更と近年の臨床上のトピックの出題

2018年2月3日・4日に実施された第111回歯科医師国家試験は出題基準が改訂された最初の年でした。出題基準は4年に1度変更されますが、今回の出題基準には最近の臨床上のトピックが取り込まれるなど、大変先進的な内容となりました。

具体的には、①ジルコニアアバットメント、②矯正用アンカースクリュー、③口腔内スキャナーが国試に初めて出題されました。

私は講師だけでなく診療もしていますので、臨床の変化を肌身で感じていますが、確かに最近のカスタムアバットメントはチタンではなくジルコニアを選択する機会が増加していますよね。矯正臨床ではインプラントアンカーを治療計画に組み込むことが当たり前の時代になりましたが、国試にもばっちり反映されているわけです。

なお、保険導入されているコンポジットレジンのCAD/CAM冠に必要な石膏模型のスキャンは109回国試(2016年実施)で初出題されています(111回国試で再出題されました)。

出題形式の変更

111回国試から、出題形式が変更されました。

2日間にわたって実施されること、問題冊子がA問題からD問題までの4分冊になっていることは従来どおりですが、必修問題(80%の得点率が必要な問題)が70問から80問になり、10問増加しました。さらに必修問題がA問題からD問題に20問づつ分散して出題されるようになりました。

必修問題で80%以上の点数を得点しなければ、自動的に不合格となってしまうため(他の問題は採点されない)、必修問題をクリアすることが受験生にとって重大な関心事になっています。

なお、必修問題は医師国家試験、薬剤師国家試験、看護師国家試験にも導入されており、医療系国家試験合格の鍵となっています。

3つの東京会場

111回国試では東京会場が3つの会場に分かれた点も話題になりました。3つの会場とは、CIVI研修センター秋葉原、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター、TOC有明です。

現在国家試験は民間への運営委託が積極的に行われているため、受託した会社の会場設営の都合だと考えられます。112回国試の東京会場がどのようになるのか注目です。

思考力・論理性を問う問題への変遷

昔の歯科医師国家試験では過去問のコピペがそのまま出題されたり、丸暗記的な出題が多いなど、思考力を問う問題がほとんどありませんでした。

しかし、107回(2014年実施)以降、丸暗記で解答できる問題が急激に減少しており、現場で考えさせる問題(思考力を問う問題)が大幅に増加してきています。

特に111回国試からは「3つ選べ」「4つ選べ」という形式での出題が可能となり、さらに並び替え問題や空欄に入る語句の組み合わせ問題の出題も可能となるなど、問題文の長文化が進んでいます。

センター試験の受験経験がある方であれば、お分かりになるかと思うのですが、センター試験のような問題・形式が増えているというイメージです。センター試験はマークシート式試験の制約の中、思考力や論理性をできる限り問うような出題形式になっていますが、まさしく今の歯科医師国家試験はそのような傾向になっているわけです。

過去問の呪縛は百害あって一利なし

というわけで、話をまとめます。

現在の歯科医師国家試験は決して細かい知識で差がついているわけではなく、重要事項の十分な理解と応用で差がついているのです。

過去問の呪縛からなのか、未だに細かい知識を教えたり、意味もわからず暗記させたりする不思議な(?)受験指導も存在しているようですが、そのような指導が今の国試に通用するとは思えません。

私のブログでたびたび指摘しているとおり、細かい知識に走るのではなく、ドーナツの真ん中の知識をしっかり理解・記憶することが重要なのです。

特に浪人生は丸覚え、丸暗記に走る傾向がありますが、勉強時間が少ないはずの現役生の合格率がなぜ高いのかを考えてみる必要があるでしょう。

本連載では国試の突破論について考察していきます。本連載を通して勉強方法や勉強の方向性について考えて頂ければ幸いです。

歯科医師国家試験グループに参加