今回のテーマ

  1. 112回国試のスケジュール&試験委員が発表されました!
  2. 112回国試で合格するために~過去問研究の重要性

112回国試の日程の発表

毎年7月最初の月曜日は歯科医師国家試験にとってちょっと重要な日です。それは厚生労働省(正確には厚生労働大臣ですが)が国試日程の発表と試験委員の発表を行うからです。

というわけで、7月2日月曜日に112回国試の日程と試験委員が発表されました!

まず112回国試の日程ですが、2019年2月2日・3日となりました。例年通りの2月の第1週です。試験地も変化ありません。しかし、7月の発表でわかることは大まかな場所だけです。具体的にどの会場が使用されるのかはわかりません。

前回のコラム でも述べましたが、111回国試では東京会場が3つに分かれたのですが、112回国試で東京会場が複数になるかどうかは現時点ではわかりません。

ちなみに国試の内容とは直接関係ありませんが、現在厚生労働省が実施する国家試験は民間事業者への業務委託が推進されています。112回国試は111回と同様にランスタッド株式会社が実施することになりました。国家試験の民間事業者への業務委託は司法試験(法務省の管轄)でも行われています。民間事業者への業務委託は他の国家試験でも行われているのです。

参考資料:関東信越厚生局HPより引用

ドリームチーム?歯科医師国家試験委員はビックネーム揃い

112回国試の試験委員の顔ぶれを見ますと、111回と同様にかなりのビッグネームの先生方がそろっています(サッカーワールドカップで言いますと日本代表です。ベルギー戦惜しかったです!)。

今の国試のトレンドを考えるうえで、何名かの先生方をピックアップしてみますね。

今回試験委員長になられたのは佐々木啓一先生(東北大学大学院教授:部分床義歯学)です。佐々木先生は日本補綴歯科学会の理事長も務められた先生で、111回国試では副委員長でした。ということは111回と同様の出題傾向(=現場思考型問題とプロセス重視型問題の増加)が続くと考えてよいのではないかと思います。

村上伸也先生(大阪大学大学院教授:歯周病学)は歯周組織再生療法の研究で大変著名です。111回国試でも出題されたFGF-2(商品名:リグロス)の開発の中心となった先生です。歯周組織再生に関する事項だけでなく、再生医学の基礎的(理論的)な事項も含めて出題される可能性もありますね(ちなみに110回国試ではスキャホールドに関する問題が出題されています)。

110回国試C問題87番)歯周組織再生療法におけるスキャフォールド(足場)はどれか。2つ選べ

  • a GTR膜
  • b 骨補填材
  • c サイトカイン
  • d 歯根膜由来幹細胞
  • e エナメルマトリックスタンパク質

解答:a, b

菊谷武先生(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)は摂食嚥下の第一人者です。最近の摂食嚥下やオーラルフレイルに関係する出題は菊谷先生の影響が強く出ていると考えられます。

高橋一郎先生(九州大学大学院教授:歯科矯正学)は外科的矯正治療と歯科矯正用アンカースクリューを活用した臨床に力を入れて取り組んでいることで知られています。出題基準に入った歯科矯正用アンカースクリューですが、予想どおり111回で出題されました。112回でも要注意です。

過去問の「研究」は重要である

拙稿だけでなく、いろいろなところで指摘されていることではありますが、111回国試の問題は「考えることを求めている」という試験委員の先生方からの強いメッセージだと考えられます。

丸暗記勉強や過去問を漫然と繰り返す学習をしても点数は伸びません。細かい知識を追い求める勉強をすればよいわけではないのです。そうではなくて、基本的な事項をきちんと理解・記憶するという地道な学習が必要です。

しかし、誤解しないで頂きたいことがあります。

過去問を漫然と解くことは何の意味もありませんが、過去問の「研究」は絶対に必要です。角度を変えて過去問と同じ内容を聞いている問題が数多くあるからです。

念のため書いておく~知っておくべき新しい知識

特に浪人生は新作問題を求める傾向が強いですが、前述のとおり、まずは過去問の「研究」をしっかりして頂きたいです。

ただ、最近の臨床の流れに沿った出題もありますので、過去問には存在しない新しい知識もある程度必要です。ブログ にも書いていますが、念のため列挙しておきます。

矯正用アンカースクリューの具体的な使用方法と埋入時の注意点

アンカースクリューは現在の矯正臨床でかなり積極的に活用されています。もしアンカースクリューが特殊な方法だと思っているのであれば、それは誤解です。111回国試ではアンカースクリューを上顎臼歯部頬側に埋入している症例が出題されましたが、口蓋正中部にアンカースクリューを埋入する方法も一般的に行われていますので、注意してください(アンカースクリュー+トランスパラタルアーチの組み合わせが多い)。

埋入時の注意点としてはアンカースクリューは歯根と歯根の間に埋入することが多いですが、その場合には歯根を傷つけないように埋入することが必要です。

CAD/CAMに関する事項

111回で初めて出題されましたが、ジルコニアアバットメントは引き続き注意が必要です。最近のインプラント治療ではジルコニアアバットメントを採用することが多くなっています(もちろんカスタムアバットメントです)。ご存知のとおりジルコニアはCAD/CAMでのみ加工可能ですので、ジルコニアアバットメントを採用する場合には、必然的にCAD/CAMが関係することになります。

支台歯を口腔内で直接スキャンする口腔内スキャナー111回国試で初めて出題されましたが、保険適用されている機器ではなく、広く普及しているわけではありません。しかし、数年後に保険適用されるのではないかという噂もあり、各社が技術開発にこぞって力を入れていることは知っておいても損はないでしょう(デンタルショーで展示される機器はCAD/CAM、口腔内スキャナーが中心になっています)。口腔内スキャナーもCAD/CAMを利用することが前提となりますので注意が必要です。

おまけ~東京歯科大学学長 井出先生のインタビューは読んでおいて損はない

以前 私のブログで紹介しました が、東京歯科大学学長の井出吉信先生のインタビュー記事KOデンタルが取引先の医院に配布している「KO knowledge」1巻2号)は現在の国試を考えるうえで大変参考になります。残念ながらweb上で閲覧することはできないようですが…。