歯科医院では、歯科衛生士の不足が叫ばれている。特に近年、予防型歯科医療への転換や訪問診療、周術期口腔機能管理といったトピックが重要視されるようになっており、歯科衛生士の果たす役割はますます大きくなっている。

歯科医療業界の人材ニーズと実際の就業歯科衛生士数にはギャップがあり、歯科衛生士の人材確保と資質向上は喫緊の課題である。

「歯科衛生士不足」とは言うものの、実際どんな状況なのか。『歯科衛生士及び歯科技工士の復職支援等の推進に関する研究』の報告書から、その実態を取り上げてみたい。

歯科衛生士は日本海側に集まる

平成26年度の医療施設静態調査のデータによると、歯科診療所あたりの歯科衛生士数は、全国平均で1.47人であった(非常勤の人数は常勤換算している)。

地域別に見ると、鳥取県が2.72人と最も多く、東京都が1.09人と最も少なかった。歯科医師1人あたりの歯科衛生士数でも鳥取県が最多(2.22人)で、東京都に至っては1人にも満たなかった(0.91人)。

歯科衛生士数

歯科衛生士の数には、地域ごとに格差がある。東北地方の太平洋側および関東地方においては、歯科衛生士が不足している傾向が強い。歯科衛生士不足は、特に北海道・福島県で顕著だ。

一方、秋田県や山形県といった東北地方の日本海側および西日本では、歯科衛生士は比較的充実している傾向にあることがわかる。

歯科衛生士数

歯科助手と歯科衛生士には負の相関

歯科衛生士だけでなく、歯科助手にも地域差がある。歯科助手は東日本、特に東北地方の太平洋側に多く、西日本に少ない。歯科衛生士と真逆だ。

統計的にも、歯科衛生士数と歯科助手数には負の相関関係がある。「歯科衛生士が多ければ歯科助手が少ない」「歯科助手が多ければ歯科衛生士が少ない」はれっきとした事実である。

歯科衛生士は4万5千人も不足している

日本歯科医師会を対象に行った調査によれば、歯科衛生士は日本全国で46,816人不足しているという。1歯科医院あたりに直すと、あと0.82人の歯科衛生士が必要である。

結婚や出産を機に辞めてしまった歯科衛生士、すなわち未就業歯科衛生士数は119,610人であるため、そのうち半数が稼働すれば現在の歯科衛生士不足は解消できるとの試算だ。

歯科衛生士数

「復職」歯科衛生士に活路か

佐々木らの推計によると、未就業歯科衛生士のうち再就業が可能な歯科衛生士数は49,118人であるとしている。また、未就業歯科衛生士のうち80パーセントが再就職を希望しているというデータもある。

しかし、再就職をしたくても給与や勤務時間といった待遇面、知識やスキル上の不安がネックになっている。自治体や民間企業の復職支援により、潜在的な歯科衛生士の創出が今後の課題になるだろう。