歯科医療・歯科技工士SNS

2017年夏、歯科界に衝撃的なニュースが飛び込んできた。開校以来、歯科技工の世界に優秀な歯科技工士を数多く送り込んできた名門・愛歯技工専門学校が閉校したのだ。
愛歯技工専門学校は、東京都板橋区に校舎を置く歯科技工専門学校。公益財団法人愛世会が運営しており、少人数制の徹底した技術教育で、臨床現場で即戦力となる人材を育成してきた。

愛歯技工専門学校には、創立90年の歴史があった。「医技分業」を唱えた歯科医師・鹿毛俊吾により大正14年に創立され、当時の厚生省等に学校として働きかけるなど、歯科技工士という職種の確立に尽力した歴史がある。

卒業生には海外でも評価されている歯科技工士も多く、なかでも同校の名誉校長である桑田正博氏は、PMF(メタルボンド/陶材焼付鋳造冠)の臨床応用に多大な功績を残した技工士だ。

背景に歯科技工士の志願者激減

愛歯技工専門学校が閉校に追い込まれたのは、歯科技工士を志す若者の激減が背景にある。

こんにちの歯科医療では、CAD/CAMをはじめとする歯科技工業の在り方を変える可能性のあるテクノロジーが実際の臨床でも使われるようになりつつあり、歯科技工士にはよりいっそうの高度な技術が要求されるようになってきている。

それに加え、歯科技工料の低迷などによる歯科技工士の賃金の低下もあり、歯科技工教育だけでなく、歯科技工士という職種全体の在り方について、各所で再考が叫ばれているのだ。

こうした時代の情勢に伴い、2000年頃までは72校で歯科技工教育が行われていたが、2017年現在では大学2校、短期大学2校、専門学校48校の合計52校でしか歯科技工教育は行われていない。

歯科業界から閉校を惜しむ声

本記事でご紹介してきたように、名門・愛歯技工専門学校は、平成30年に学生募集を停止し、平成31年3月をもって、90年の歴史に幕を下ろす。卒業生だけでなく、歯科技工士や歯科医師からも、同校の閉校を惜しむ声が上がっている。

平成28年度の歯科技工士国家試験では合格者数が1,000人を割って982人となるなど、国家資格を有する医療系職種として規模の縮小感は否めないが、一方で、歯科技工士という職種をめぐってさまざまな取り組みや業界を変革しようとする技工士も出てきている。

本連載「歯科技工士、これからどうなっていくのか会議」では、暗い文脈で語られ尽くした歯科技工業界を、希望の文脈で語り直してみたいと思う。次回は、各機関が公表している統計データから、現在の歯科技工士という職種がどういった立場に置かれているのかを、分析していきたい。

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