歯科技工士の今後の在り方を考える、本連載「歯科技工士、これからどうしていくのか会議」。第2回は、歯科技工士という仕事の現在について、統計データから読み解いていこう。

歯科技工士の基本データ

歯科技工士の高齢化と新規参入の激減

厚生労働省が集計した統計データによると、2014年末の就業歯科技工士数は34,495人である。新規参入歯科技工士は減少傾向にあり、平成29年2月19日に実施した平成28年度歯科技工士国家試験の合格者数は、987名であった。受験者数は1012名で、合格率は97.5%だった。

また、公益財団法人日本歯科技工士会が取りまとめた『歯科技工士実態調査報告書(2015)』のデータによれば、歯科技工士の平均年齢は50.1歳である。男女比率は85.9%を男性が占めており、女性が非常に少ないという特徴がある。

勤務する職場としては歯科技工所が最も多く、44.4%の割合であった。続いて歯科医院・歯科診療所が36.9%という結果になった。

歯科技工士という仕事について

実際に働く歯科技工士は、歯科技工という仕事をどのように考えているのか。同調査では「十分に責任のある仕事ができる」「かなり自由に自分の裁量で仕事ができる」「社会貢献度が大きい」といった声が聴こえた。

しかしその一方で、歯科技工料が低価格であり、歯科技工士も低賃金で雇用されざるを得ないことや、長時間労働による健康問題などの問題も、課題として挙げられている。なお、歯科技工業から離れ、他業に移りたいと思う割合は歯科技工士全体の17.8%であった。

歯科技工士の勤務の実態

低賃金と長時間労働

新卒歯科技工士の初任給は「18~20万円」が34.5%と最多で、「16~18万円」が27.6%、「14~16万円」が20.7%という結果になった。新卒歯科技工士の平均初任給は17.7万円で、平均基本給は15.0万円だった。

残業などの労働時間はどうなっているのだろうか。アンケート結果により、1日の平均就労時間は「9~10時間」が30.9%で最多で、「7~8時間」が19.4%、「11~12時間」が19.4%と続いた。平均就労時間は10.5時間であった。

1日の残業時間は平均で、5時間未満が38.1%、5時間~10時間未満が17.4%となっていたが、残業の時間外手当は、支給されていない割合が36.2%と多かった。

1週間の就労日数は「6日」が最も多く52.0%と半数以上を占めていた。平均の就労日数は、週に5.8日となっている。歯科技工所も、週休1日制が25.3%と四分の一程度を占めているという結果になった。

また、就業内容を明確にするために必要な「書面による労働契約」を結んでいるかという質問に対しては「結んでいない」と回答した歯科技工士が54.9%と半数以上を占めた。しかし、前回調査よりもこの割合は改善傾向にあった。

なお、歯科技工所の後継者不足が顕著で、「後継者がいない」と回答した割合は72.1%と多かった。

今後の歯科技工業界に必要なことは?

同調査における「将来の歯科技工業界に必要と思われる事項」という質問では、「医療保険範囲における歯科技工報酬の明確化」や「無免許歯科技工への取り締まり強化(業務独占の維持)」「新卒者スキルアップ等に向けた卒後研修制度の確立」などが叫ばれた。

また「この国の歯科技工業は、将来どうあるべきだと考えますか」という質問には、「歯科医療としての確立を図るべき」という意見が73.5%と多かった。「経済行為と割り切り、経済追求を勧めるべき」と回答した歯科技工士も9.8%いた。

今回、各種機関の統計データから、現在の歯科技工士という職種がどのような立場に置かれているのかをまとめた。次回以降は、今後の歯科技工業がどうなっていくのかについて、分析していきたいと思う。