奈良県立医科大学公衆衛生学講座の明神大也氏、野田龍也氏、久保慎一郎氏、西岡祐一氏、今村智昭氏による研究チームは、各地域の病院や診療所等で行われている診療のレセプトや特定健診によるデータベースから、血友病に罹患している患者さんの全国分布を明らかにした。

血友病はガイドラインによる標準治療が推奨されているものの、その標準治療の実施率は地域ごとにバラつきがあり、地域偏在が課題となっていた。

血友病・von Willbrand病の分布を産出

今回同研究チームにより集計されたのは、全国の平成25年4月〜平成26年3月のレセプトである。その膨大な数のデータベースのなかから、血友病A、血友病B、von Willbrand病(VWD)に罹患したことのある患者を集計し、地域や性別といった属性ごとに、分布が算出された。

その結果、血液製剤を使用している血友病Aの患者さんの数は4067人であった。この4067人のうち、男性は4023人だった。この数値を全国の男性の人口で割ると、10万人あたり6.5人の割合で発症することになる。

先進的な病院のある地域に受診者が集積

地域別では、東京都の788人が最多で、その次に321人の愛知県、264人の神奈川県、249人の福岡県、243人の大阪府が続いている。また、全国を8ブロックに分けたときに人口10万人対の血友病の比率が最も多かったのは、8.1人の九州・沖縄地方であった。

これらの結果から、血友病などの血液凝固因子異常症患者は、先進的な病院のある地域に受診者が集積していると考えられた。

この研究を行った奈良県立医科大学の研究チームは「レセプトや特定健診の情報データベース(NDB)を用いることで既存の全国集計に近い精度の集計を短時間でかつ何度でも繰り返せることが示唆された」と語っている。

参考文献

  1. 明神大也, 野田龍也, 久保慎一郎ほか『レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB):血友病等患者の全国分布』日本公衆衛生学会誌, 2017.