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いま、地域包括ケアシステムに脚光が集まっている。そもそも、地域包括ケアシステムとは一体なんなのか、歯科医院・歯科医療者は地域包括ケアシステムにどのように関わることができるのか。

本記事では、厚生労働省が公表しているデータに基づき、地域包括ケアシステムにおける歯科医院が果たすべき役割について解説を行う。

脚光を浴びる地域包括ケアシステム

待ったなしの高齢者対策

我が国の高齢者人口は、既に3,000万人を超えている。この数値は2042年まで増加を続けていき、3,900万人にまで達すると考えられている。高齢者人口がピークに達した後も、75歳以上の後期高齢者が占める割合は増加していく。

特に、全国に800万人いる団塊の世代が75歳になる2025年以降は、医療や介護のニーズが現在以上に増加することが見込まれている。そこで厚生労働省は、地域包括ケアシステムを2025年までを目処に整備させたい考えだ。

地域包括ケアシステムは、要介護状態になっても暮らし慣れた地域で最後まで自分らしい生活を送ることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みだ。超高齢社会における医療介護システムの柱となると期待されている。

地域包括ケアシステム、5つの要素

地域包括ケアシステムの実現には、5つの構成要素が欠かせない。介護・医療・予防といった専門的なサービスと、その前提としての住まいや生活支援のサービスが相互に連携する必要がある。

地域包括ケアシステムの5つの構成要素

 

歯科医院はどのように関わるべき?

それでは、地域包括ケアシステムに歯科医院や歯科医療者はどのように関わっていけば良いのか。超高齢社会のなかで、歯科医療に何ができるのか。

厚生労働省は、地域包括ケアシステムにおいて歯科医療が果たすべき役割や機能を明確にしている。

医科・介護 ー 歯科医療間での連携を進める

歯科医院が積極的に地域包括ケアシステムに参加し、歯科ならではの役割を果たすためには、地域ケア会議(※1)などを通じて、医療・介護の他職種に対し歯科治療の必要性を訴えていく必要がある。現状では、地域ケア会議における歯科医院の参加は十分とは言えない。

また、居宅等で療養を行う患者に対する周術期口腔機能管理や訪問歯科診療を中心とした医科との連携、介護施設に入所している要介護高齢者に対する歯科治療・管理といった介護との連携が重要である。歯科医療を含む医療・介護が一体的に高齢者に提供されるよう、連携を進めることが急務だ。

歯科医院間での「診診連携」もカギ

歯科医院には、専門分野に応じて歯科医院間の役割分担を決めていくことが求められる時代になりつつある。

複数の歯科医院をグループ化したり、地域医療連携推進法人(※2)の制度も利用したりすることで、個々の歯科医療者の負担を軽減しつつ、専門分野ごとの機能分化を図る方針が提言されている。

訪問歯科診療への取り組みも

もちろん、訪問歯科診療への取り組みも重要だ。今後さらなる患者ニーズの多様化に対応するために、外来診療だけでなく訪問歯科診療を行うことが求められている。

地域ごとに、それぞれ訪問歯科診療の調整機能を担う機関と連携を図り、情報を共有することが必要である。人的リソースなどの課題から訪問歯科診療の提供が困難な歯科医院は、外来診療の時間を調整したり、訪問歯科診療を実施している他の歯科医院と連携するなどの施策が、新たに要求されている。

脚注

※1「地域ケア会議」:地域包括ケアシステムの実現のために市町村や地域包括支援センターが主催する、高齢者個人に対する支援とそれを支える社会基盤の整備を行う会議のこと。

※2「地域医療連携推進法人」:地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、複数の医療機関が参画できる新たな法人の認定制度のこと。

参考文献

  1. 『地域包括ケア研究会報告書(平成25年3月)』厚生労働省, 2013(URL).
  2. 『地域医療連携推進法人制度について』厚生労働省, 2017年(URL).
  3. 『地域ケア会議の概要』厚生労働省, 2016(URL).

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