2015年の秋、突如メディアを騒がせた「日歯連」の文字。東京地検特捜部が、日歯連の元会長である高木幹正(73)、前会長の堤直文(75)と、経理を担当していた副理事長の村田憙信(73)を、政治資金規正法違反の罪で逮捕したのだ。迂回献金が疑われてのことである。

日歯連、正式に言えば日本歯科医師連盟は、日本歯科医師会を母体とする政治団体。日本歯科医師会は公益社団法人であるため政治活動を行うことができないことから、1950年台に設立された。日歯連は現在も、歯科診療報酬の適正化を始めとし、政官界に対して大きな影響力を持っている。

日歯連による迂回献金事件の概要

日歯連は2013年、参議院選挙の組織内候補として西村正美氏、石井みどり氏の両候補を擁立、2人を当選させた。問題となったのは、その際に迂回献金により政治資金の寄付限度額を超えて寄付し、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたことだ。

2013年の参院選前、石井みどり氏の後援会には9500万円の寄付がされた。政治資金規正法では政治団体への寄付の上限は5000万円に設けられているため、そのうち5000万円は西村氏の後援会に献金されたように虚偽の政治資金収支報告書を提出したのだ。
日本歯科医師連盟の迂回献金

日歯連は過去にも汚職事件

今回の迂回献金による一連の動きは、メディアでも連日報道された。しかし日歯連による汚職事件が世間を賑わすのはこれが初めてではない。2004年にも闇献金や横領、日歯会長選挙の買収などの汚職事件が大きく報道されている。

当時の日歯連事件では、日歯連幹部6名のほか、中医協の委員2名、自民党議員2名を含む計16名が逮捕・起訴され、有罪となっている。

翌2005年には政治資金規正法が改正されたが、その改正のきっかけになったのが、この日歯連事件だ。改正後の政治資金規正法では、寄付は原則的に銀行や郵便振り込み等で行うことが義務付けられたことで、政治資金の流れは透明化したと思われた。

それにも関わらず、改正の当事者となった日歯連自身が、政治資金規正法違反でメディアを賑わすという皮肉な結果となってしまったのだ。

求心力を失う日歯連

一連の事件を受け、日歯連は歯科医師のなかでも急速に求心力を失っている。10年前には6万人を超えていた会員は、5万2000人まで減少している(2015年9月現在)。

歯科医療の地位と供給の適正化を図るためにも、日歯連の存在意義は大きなものである。日歯連は、歯科診療報酬の適正化の推進、歯科医師需給問題への対応、歯科医院の経営に関する税制対策、地域歯科医療の確保などの諸問題を政治的なアプローチで改善してきた。日本歯科医師会の理念や政策を実現まで落とし込む団体は必要である。

日歯連の求心力の低下は、歯科医療の歪みを引き起こし、歯科医師の地位低下にもつながる。日歯連には、その在りかたがいま、問われているのではないだろうか。