歯科医師国家試験グループに参加

難化の一途をたどる歯科医師国家試験。その背景には、歯科医師過剰問題を根拠とした厚生労働省による合格者数の調整がある。歯科医師国家試験はこれからどうなっていくのか、歯学生はどうしたらよいのか。本連載では「厚生労働省 VS 歯科大学」と題して、歯科医師国家試験を取り巻く諸問題を取り上げる。

歯科医師国家試験の実施フロー

そもそも、歯科医師国家試験はどのような仕組みで実施されているのか。厚生労働省の発表資料によると、歯科医師国家試験は下図のような流れで実施されている。

歯科医師国家試験実施の流れ

歯科医師国家試験が行われるまで

上図について、具体的に詳しく見ていこう。

まず、医道審議会歯科医師分科会が試験の実施方法についての決定を行う。医道審議会とは、厚生労働省設置法に基づく厚生労働省の審議会の1つで、主に医療職種等の行政処分の決定を行っている。この医道審議会歯科医師分科会で決定された実施方法は、厚生労働大臣に答申される。

厚生労働大臣に答申され許可が下りたあとは、厚生労働省から選ばれた歯科医師国家試験出題委員が、試験問題を作成する。ちなみに 国家試験出題委員の名簿 は一般的に公開されており、予備校などは出題委員の専門分野などから出題可能性の高い問題を予測している。

国家試験に出題する問題が決定したら、歯科医師国家試験が行われる。例年1月下旬~2月上旬に歯科医師国家試験は行われ、医療関係職種のなかで最も早いのが近年の慣例となっている。合格発表は医師国家試験と同日・同時刻であることが多い。

歯科医師国家試験が行われたあと

歯科医師国家試験が終わると、K・V(Key Validation)部会と呼ばれる、医道審議会歯科医師分科会の下に設置される部会が、出題された試験問題の妥当性を評価する。その評価の結果は、医道審議会歯科医師分科会に提出される。

そして、医道審議会歯科医師分科会が合格者の仮決定を行い、それを厚生労働大臣に答申し、厚生労働大臣の判が押されれば、合格者が正式に決定されるのだ。合格発表は例年3月中旬~下旬に行われており、厚生労働省内とインターネット上で確認することができる。

4年に1度、実施基準と試験範囲が改訂

歯科医師国家試験は、4年に1度出題基準や合格基準の改訂が行われている。2018年2月初旬に行われる第111回歯科医師国家試験は、改訂後初の国家試験だ。今回の改訂は、2016年に行われていた「歯科医師国家試験制度改善検討部会」の検討内容に基づいている。この出題基準は、厚生労働省がPDF を公開している。前回は2014年に行われた第107回歯科医師国家試験で、その時も出題基準と合格基準の大幅な改訂が行われた経緯がある。

107回歯科医師国家試験の改訂では、「必要最低点」という細かなカテゴリごとの足切り点数が設定されたが、導入されたはいいものの、ほとんど合格者の選別に使われることなく、110回歯科医師国家試験から既に運用外となっている。

また、本連載でも後ほど取り上げるが、107回歯科医師国家試験では大きく合格者数の削減がなされた。前年まで71%代を推移していた合格率が、合格基準の改訂により一気に63%代まで減少したのだ。それ以降、歯科医師国家試験の合格率は63%〜65%代を推移している。

111回歯科医師国家試験の展望は

今回、改訂後初となる111回歯科医師国家試験では、107回歯科医師国家試験と同様に、大幅に合格者が削られる可能性が高い。とある予備校講師は取材に対し「107回までの削減率とはいかないまでも、1800人程度まで合格者が減る可能性は十分にある」という。

実際に、何人合格していて、基準をどこに置くかなんて、蓋を開けてみないとわからない。どこで合格者を切るかという権限は、すべて厚生労働省の手のひらにある。国家試験の成績が低迷して苦戦する歯科大学も、成績が思うように伸びない歯学部生も、厚生労働省が公表している資料に基いて試験対策を行う以外の道はないのである。

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