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妊婦が外来を受診した際に負担分の料金を上乗せする「妊婦加算」が議論の的になっている。

妊婦加算は平成30年度の診療報酬改定で算定できるようになった制度だが、導入後わずか9ヶ月で凍結に追い込まれることになった。

12月13日に行われた厚生労働部会の終了後、自民党の小泉進次郎・厚生労働部会長が「妊婦さんに自己負担を発生させることは容認できない」と語ったことで、報道に火が付いた。

妊婦の診察に積極的に関わってもらう制度

妊婦加算は「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する」という趣旨で、通常の医療費に "追加料金" の形で妊婦の自己負担額が上乗せされる。

妊婦の診察には、投薬や感染症に特別な注意が必要である。したがって、これまで産婦人科以外の医師は妊婦の診察を敬遠しがちであった。

今回の妊婦加算は、そこにインセンティブを付与することで積極的に妊婦の診察に関わってもらおうとする厚労省の思惑が背景にある。

「妊婦税ではないか」国民から批判意見も

妊婦加算は、病名や診療科に関わらず、妊婦であれば算定できるため、コンタクトレンズの処方にも算定していた医院もあった。

かつ、上乗せ分を妊婦の自己負担で賄っていたため、国民からは「妊婦だけ負担が多くなるのは不公平」「妊婦税と言った方が良いのでは」「少子化対策に逆行する」という批判が集まっていた。

そして厚生労働省は12月14日、妊婦加算を年内にも凍結する方針を固めた。4月1日の導入後、わずか9ヶ月で施策が行き詰まったことになる。

"診療科に関わらず" と言えど歯科は蚊帳の外

この妊婦加算、「病名や診療科にかかわらず」とは書いてあるものの、歯科は蚊帳の外である。医科と歯科では診療報酬改定のプロセスが異なるためだ。

1Dニュースが厚生労働省に取材を行ったところ、「医科に入るから歯科に入るというわけではなく、2018年4月の改定では議論されていない」とのことだった。

今後、歯科にも(自己負担でなくとも)妊婦加算が導入されるかと聞くと「2020年の改定に向け、中医協で来秋以降に議論が本格化するが、現時点で導入はない」という回答を得た。

歯科は妊婦の診察に気を遣っていないのか?

歯科医師も歯科衛生士も、歯科医院に来た妊婦の患者には非常に気を遣うはずである。

投薬や感染症、器材の適応、ユニットの倒し方それぞれ考慮する必要があり、通常よりも多くのコストがかかる。なかには知識不足から積極的な治療を避け、後回しにするケースもあるかもしれない。

妊婦はエストロゲンなどの女性ホルモンの影響で、妊娠性歯肉炎に罹りやすくなっている。歯周炎に移行すれば、早産や低体重児出生といったリスクが高まる

歯科医療者が妊婦の歯科治療に関する知識を得て、積極的に関わっていくことは、子どもの健全な成長発育にとって有益なことなのである。

妊婦の自己負担で賄う現制度は再考すべきだ。しかし、2020年の診療報酬改定で歯科にも同様の制度が導入されれば、歯科医療も妊婦・子どもにもっと有益な関わり方ができるのではないだろうか。

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