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福岡県の歯科医院で2017年7月、治療に訪れていた県内の山口叶夢ちゃん(2)の容体が急変し、死亡した事故が起こった。

警察の司法解剖の結果、叶夢ちゃんの死因は局所麻酔薬であるリドカインの中毒による低酸素脳症とみられることがわかった。

叶夢ちゃんの歯肉には広い範囲の出血が確認されたことから、歯科医師が誤って血管に局所麻酔薬が投与された可能性もあるとみて、警察は業務上過失致死容疑での立件も視野に捜査を続けている。

事件の概要

当日、叶夢ちゃんは母親(25)と一緒に歯科医院に来院。リドカインによる局所麻酔を受けた後、ラバーダム防湿をし、約1時間のむし歯の治療を行ったという。治療に際しては、抑制具を使用した身体抑制を行っていた。

しかし治療後、叶夢ちゃんの身体は硬直し、目の焦点が合わなくなった。担当していた歯科医師である院長は「よくあること」だとして院内で休むよう促した。しかしその数十分後、激しいけいれんを起こし、大学病院に救急搬送されたが、2日後に死亡が確認された。

報道では「ラダーダムは悪」という論調も

この医療事故が明らかになってから、ワイドショーなどで連日報道がなされた。事故のコメンテーターとして第三者の歯科医師も登場し、「ラバーダム防湿は小児には使用しない」という主旨の発言を行った。

また、実際に治療に当たった歯科医師は小児歯科専門医ではなかったが、報道では「担当医の院長は小児歯科専門医である」といった誤った内容が報道された。

小児歯科学会が報道に抗議

今回の医療事故に対する一連の報道を受け、日本小児歯科学会が学会のウェブサイトを通じて抗議のコメントを出すという事態になっている。

ラバーダム防湿は、医療事故を防ぐために有効な手段だ。それは小児の治療においても同様であり、先述の「ラバーダム防湿は小児には使用しない」というコメンテーターの発言も、適切であるとは言えない。

こうしたコメンテーターの発言に対し、日本小児歯科学会は適切な歯科治療を受けている子どもの保護者が不安を募らせているとし、「誤った発言は小児歯科医療に専心している小児歯科専門医にとって非常に迷惑であり、患者さんと歯科医師の信頼関係を壊すことになりかねない」と抗議した。

日本小児歯科学会は対応策を公表

今回の医療事故に対するマスメディアによる報道も一段落し、報道の熱は冷めた。

日本小児歯科学会は、学会として「今回のような悲惨な事故を防止し、学会として医療安全に向けた一層の努力を図り、会員への注意喚起と研鑽の機会を提供していきたい」と文書にて語った。

参考文献

  1. 『虫歯治療後に2歳女児死亡 福岡県警が捜査』産経新聞, 2018年1月19日.
  2. 『福岡県で発生した歯科治療後の2歳児の死亡事故について(PDF)』, 日本小児歯科学会, 2018年1月17日.
  3. 『小児におけるラバーダム防湿法の使用について(PDF)』, 日本小児歯科学会, 2018年1月17日.
  4. 『日本小児歯科学会における身体拘束下での歯科治療に関する基本的考え方(PDF)』, 日本小児歯科学会, 2018年1月17日.

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