「ビッグデータ」という用語がニュースを賑わせて久しいが、そのなかでも特に巨大で人々のニーズに応えられるのは、「気象」と「医療」の分野かもしれない。

今回は最新研究から、一般財団法人日本気象協会(JWA)と株式会社日本医療データセンター(JMDC)が合同で行う、気象と医療のビッグデータを利用したサービス「Health Weather」をご紹介する。

気象で疾患はどう変化するか?

今回の研究では、日本気象協会が所有する気象データと日本医療データセンターが保有するレセプトのデータを融合し、気象データを説明変数としたとき、疾患はどのように変化するのかという調査を行っている。

調査の対象となったのは、日本全国の病院や診療所に喘息を主訴として来院した患者数と、アトピー性皮膚炎が主訴の外来患者数、そしてPM2.5濃度やオゾン濃度、気温、湿度、気圧などの気象データである。

調査の結果、PM2.5の平均濃度が15µg/m3以下の日では、日平均値が1µg/m3上昇すると喘息の受診率が1.003倍に、日平均濃度が環境基準の35µg/m3を超える高濃度の日では、1.005倍になった。

またアトピー性皮膚炎の外来患者数は、日較差が1℃拡大すると1.010倍、日平均気温の平年値との差が1℃上昇すると0.991倍になることが明らかにされた。

ヘルスリテラシーの向上を支援する

今回ご紹介した研究を行っている日本気象協会関西支社の真田知世氏、川瀬善一郎氏、田口晶彦氏と、日本医療データセンターの田中貴氏、久野芳之氏、小平紀久氏は、今回の研究による予測モデルにより気象の変化と疾患の発症を定量的に評価することが可能になったとし、今後の研究では「ヘルスリテラシーの向上を支援し、受診の啓発などの行動変容を促していきたい」としている。

参考文献

  1. 真田知世, 川瀬善一郎, 田口晶彦ほか『気象データと医療データを活用した「Health Weather」の取り組み』日本公衆衛生学会誌, 2017.