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歯科医院の労働環境は課題が多い

歯科医療の現場では歯科医師・歯科衛生士の人材不足が叫ばれています。歯科医院で働くスタッフは残業や復職に不満を感じており、離職率も他業界と比べて高い数値にあります。

歯科医療業界の外に視野を広げてみても、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、出産や育児など労働ニーズの多様化など、我が国の「働き方」は変革期にあると言えるでしょう。

こうした状況のなかで、より生産性を向上し、働く人の環境に応じて多様な働き方ができる環境づくりが重要な課題になっています。

「働き方改革関連法案」とは?

2018年6月29日、働き方改革関連法案が成立しました。労働基準法や労働安全衛生法、パートタイム労働法や労働契約法などの改正を総称して「働き方改革」と呼ばれています。

働く人の健康を重視し、また正社員と非正規社員の格差を是正することが、今回の改正の主な目的です。

働き方改革、歯科医院はどのポイントを抑えれば良いのでしょうか。有給や残業に関する内容など、歯科医院の経営者が把握・対応しなければならない内容も多くあります。

今回の記事では、2019年4月から断続的に施行される働き方改革について、歯科医院で対応しなければならない内容をまとめて解説していきます。

有給休暇の指定・取得が義務化

年10日以上の有給休暇の権利があるのに取得していない(消化日数が年5日未満)のスタッフに対し、歯科医院側から日にちを指定して不足日数分の有給を取得させることが義務付けられました。

この項目は2019年4月に施行されるので、いつ・誰が・どのように有給を取得するのかを早急に検討し、準備しなければなりません。

残業時間の規制が厳格に

改正前の労働基準法では、36協定(企業と従業員代表者の間で締結する労使協定)の内容によっては、スタッフに上限なく残業をさせることが可能でした。

ところが今回の働き方改革で、残業は年に合計720時間までという上限が設けられました。またどんなに忙しくても、残業は月に100時間までという上限も新たに設定されます。

歯科医院や中小企業は、2020年4月から残業時間の厳格化が施行されますので、注意しましょう。

正社員と非正規社員との格差を是正

正社員と非正規社員の間で待遇の格差がある場合、それを是正することが求められています。いわゆる「同一労働同一賃金」ルールです。

例えば、通勤手当や皆勤手当などを正社員にのみ支給し、同じように働いている非正規社員には支給していないケースなどは違法と判定される可能性があります。

残業代の割増率を引き上げ

2023年4月以降は、月60時間を超えた場合の残業の割増賃金率が、25%から50%に引き上げられました。

歯科医院においても、月に60時間を超える残業については50%の割増賃金を支払うことが義務付けられます。

労働時間の把握義務が明確化

歯科医院は、スタッフの労働時間をきちんと把握しておくべきですが、現行の法律ではそれが明確に定められていませんでした。

今回の改正で労働安全衛生法に明記されたことにより、歯科医院でも労働時間の把握義務が明確化されました。

スタッフの健康状態の取扱規程を定める

この項目も労働安全衛生法によって、歯科医院はスタッフの健康情報に関する取扱規程を定め、それを適切に管理することが義務化されました。

健康情報とは、健康診断やストレスチェックなどの結果に関する情報を言います。

高度プロフェッショナル制度の新設

高度プロフェッショナル制度は、「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」職種に適用が限定されるため、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士など医療職種に対しては適用外です。

今後、対象範囲を含め厚生労働省省令で決定されていくものと思われます。

長期的なスパンで考えるきっかけに

「働き方」をめぐる一連の法改正の概要と、歯科医院経営への影響について解説をしました。

歯科医院で働くスタッフが、個々人に合った多様な働き方で仕事をするようになれば、歯科業界全体の生産性が向上し、優秀な人材確保の可能性が上がります。

今回の働き方改革は、短期的な損得だけでなく、長期的なスパンで歯科医院の労働環境を問い直す良いきっかけになるのではないでしょうか。

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