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無資格の歯科助手らにエックス線撮影を行わせたとして、大阪市内の歯科医院で働く歯科医師4人と歯科助手やカウンセラー7人が、診療放射線技師法違反の疑いで書類送検された。

エックス線は、医師・歯科医師・診療放射線技師の資格を持っていなければ撮影することができない。今回のケースは、大阪府警に「無資格者の撮影が常態化している」という相談があり発覚した形だ。

常態化している歯科医院も

書類送検された歯科医師は、「診療で忙しく、手間を省きたかった」と供述している。

実際に照射ボタンを押していた歯科助手らも「歯科医師の負担を少なくしたかった」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかっている。

勤務歯科医師の人手不足や人件費の過剰な削減により、歯科衛生士や歯科助手がエックス線撮影をすることが常態化している歯科医院は、日本全国にいくつもある可能性がある。

今回の事件を経て、そうした一部の歯科医院はエックス線撮影に関する体制を見直す時が来たと言えそうだ。

なぜ歯科衛生士はエックス線照射ができない?

いくら忙しくても、人手が足りなくても、歯科医院においては歯科医師がエックス線の照射ボタンを押しに行かなければならない(もちろん診療放射線技師や医師が押しても良いが、一般的な歯科医院にはいない)。

なぜ、歯科領域の国家資格を有する歯科衛生士はエックス線の照射ができないのだろうか。その法的な根拠を整理してみよう。

「歯科診療の補助」には当たらない

歯科衛生士は「予防処置」「歯科診療の補助」「歯科保健指導」の3つの業務を担っている。これは歯科衛生士法により定められている。

エックス線撮影という業務を考えたとき、「予防処置」や「歯科保健指導」にはどう考えても該当しない。

では、「診療の補助」としてエックス線撮影は認められないのだろうか。エックス線撮影が診療の補助に当たるのなら、歯科衛生士や看護師でもエックス線撮影が可能ということになる。

診療放射線技師法により明確に規定

診療放射線技師法第24条には、医師・歯科医師・診療放射線技師でなければエックス線を照射してはならないと規定されている。

また同法第24条の2には、保助看法の除外規定として、MRIや超音波検査を医師・歯科医師の指示の下で行うことができる、という規定もある。

このように、「エックス線撮影」と「診療の補助」は、法的に明確に区別されているのだ。つまり、エックス線撮影は診療の補助でないことは明らかである。

エックス線は特別に取り扱うべき

エックス線撮影は、人体に悪影響を及ぼす恐れのある行為であるため、医師・歯科医師、診療放射線技師が業務を独占している。

放射線については労働安全衛生法の省令である電離放射線障害防止規則(電離則)をはじめ、特別な取り扱いが求められている。

切っても切れない歯科医療とエックス線

歯科医療とエックス線撮影は、切り離すことができない密接な関係にある。多くの歯科疾患は、エックス線の検査を経て診断される。

勤務歯科医師が不足しがちな歯科業界において、歯科衛生士や歯科助手が照射ボタンを押さざるを得ない状況になってしまうことも、しばしばあるだろう。

しかしエックス線撮影は、単に照射ボタンを押すだけの行為ではないということを、今回の事件をきっかけに思い返したいところである。

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参考文献

  • ヨミドクター『歯のX線、無資格撮影…容疑で歯科医ら書類送検へ』2019年1月9日閲覧.
  • 社会歯科学会編著『歯科六法コンメンタール -歯科関連法律の逐条解説』ヒョーロン・パブリッシャーズ, 2018.