本連載「クローズアップ歯科企業」では、今日の歯科医療・歯科医学を牽引する歯科関連企業の、現在に至るまでの足あとを辿ります。

連載第1回は、歯科用マイクロスコープで臨床家のドクターから評価が高いドイツ企業、カールツァイス社の歴史を紐解いていきましょう。

カールツァイス社とは

カールツァイスは、光学・オプトエレクトロニクスの分野で世界有数のメーカー。高いクオリティと独自の研究で、同分野で世界を牽引しています。

歯科領域においては、歯科用マイクロスコープや拡大鏡・ルーペが有名で、臨床家にも古くからのファンが多いことで知られています。

カールツァイス社の歴史

カールツァイスは、ドイツ中部の都市、イェーナで1846年に設立されました。創業者のカール・フリードリヒ・ツァイス(Carl Friedrich Zeiss)が30歳のとき、顕微鏡のレンズを製造する小さな工房を立ち上げたことが始まりです。

彼が開発した顕微鏡が世界的な評価を受けるようになるまで、それほど長い時間はかかりませんでした。1861年には、ドイツ国内で行われた博覧会で金賞を受賞しており、その品質が認められています。

細胞説を提唱した生物学者、マティアス・ヤーコプ・シュライデン(Matthias Jakob Schleiden)の熱烈な支持も受けながら、カールツァイスは顕微鏡の改良を重ねていきました。のちにロベルト・コッホ(Robert Koch)も、カールツァイスの顕微鏡で炭疽菌を発見しています。

自身の顕微鏡がいくら評価されようとも、ツァイスは製品の品質に満足していませんでした。1860年代からは改良の糸口を数学的アプローチに求め、天文学者であったエルンスト・カール・アッベ(Ernst Karl Abbe)に協力を依頼し、より高度な顕微鏡開発を探求するようになりました。

1912年には医療機器業界にも参入。顕微鏡の開発で培ったカールツァイスのテクノロジーは、臨床に携わる医師・歯科医師から、現在も絶大な支持を得ています。

カールツァイス社のカルチャー

カールツァイス社は、カールツァイス財団によって運営されています。そしてカールツァイス財団は、学術の発展のために全発明を公開し、パブリック・ドメインとしています。

さらに、100年以上前に「8時間労働制」を実現したことでも知られています。当時のドイツは14時間労働が当たり前でしたが、世界に先駆けて労働環境を整備しました。他にも有給休暇や年金制度など、従業員の福利厚生を重視する経営理念があります。

このようなカールツァイス社のカルチャーが、世界中から優秀な技術者を引きつける魅力なのかもしれません。企業文化やカルチャーの面でも、世界をリードするテクノロジー企業として君臨しています。