歯科医師、歯科衛生士向けSNS「1D」

2017年、中国のメディアでロボット歯科医によって女性の口に2本の新しい歯を埋め込むインプラントが成功したとの発表があった。

『世界の歯科スタートアップ最前線』第3回は、中国のロボット手術の最先端に迫る。

動画では、機械によって口腔内の顎堤にドリルが差し込まれ、かなり恐ろしい光景に見える。

このシステムでは、まずドクター達はロボットを正しい位置に固定し、患者の口腔内での必要な動き、角度、深さ等の計測プログラムを決定する。その後は自動的に手術が実行される。手術中も微調整は可能だ。

気になるのは正確性だが、全ての基準を満たす誤差0.2~0.3mmで人工歯を装着できるとのこと。西安拠点の大学と北京ロボット研究所が研究・開発中だ。

ロボット普及の背景には中国の歯科医師不足

ロボットが手術を担うことに関して、制度面や万が一医療事故を起こした場合などの責任の所在など、議論の余地は多々ある。

しかし、人であっても必ず精度が一定の水準で成功できるとは限らない。これまで、医科・歯科共に手術時の事故の問題は多数あり解消されてはいない。インプラントの事故も過去に起きている。

そのような中で、中国でロボット歯科医の研究が進む背景として、人口動態が挙げられる。中国は、人口が多く歯科を必要としている人も多い。

一方で歯科医師は不足しており、中国においてテクノロジーによる業務効率化が急務となっているのだ。

テクノロジーでインプラントはどう進化する?

そもそも、インプラントの歴史はとても古い。ヨーロッパでは上顎に鉄製のインプラントが埋まっている紀元3世紀頃のローマ時代の人骨が発見されており、中南米では下顎に貝で作られたインプラントが埋まっている紀元7世紀頃の人骨が発見されている。

研究の歴史を辿ると、1952年に金属のチタンを骨の中に埋めると骨と結合する現象が発見され、1965年にスクリュー形状(ネジのような形状)のチタン製のインプラントの臨床応用が開始された。

そして、1980年代になってから、骨と結合するインプラントの臨床結果が優れていることが世界的に知られるようになった。その後、インプラントには様々な改良が加えられ今に至っている。

これらを時系列で俯瞰すると、現代のAIなどのワードが飛び交うテクノロジーが加速する時代で新たな転換が起きてもおかしくはない。

パラダイムシフトの予兆

実は、国内でも手術にロボットは用いられている。腹腔手術を支援する、内視鏡下手術支援ロボット『ダビンチ』などが挙げられ、日本における症例数も2014年時点で10,000件弱を突破している。

さらに、歯科の領域でも口腔外科手術に関してモリタとソフトバンクが共同でAR(拡張現実)やMR(複合現実)のテクノロジーを用い、新たな取り組みをしている。

まだ信じられないものの、手術の大多数を機械が担う時代もそう遠くはなさそうだ。そして、テクノロジーが進歩すれば人間よりも機械の方が信頼性が高く、ドクターは新たな役割を担う時代にシフトするかもしれない。

人体が関わっている以上、こうした取り組みは慎重に行う必要があり、必要以上に急ぐことは良くない。だが、世界の歯科医療は、こうしたパラダイムシフトの予兆が始まっていることも押さえておきたい。

歯科医師、歯科衛生士向けSNS「1D」

参考文献

  • 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 HP
  • 日本歯科医学会 平成25年3月『歯科インプラント治療指針』
  • South China Morning Post Friday, 20 Jul, 2018
  • 『Chinese robot dentist is first to fit implants in patient’s mouth without any human involvement』