これまで有効な治療法が無かった疾患の治療が可能になるなど、失われた組織を取り戻す「再生医療」が脚光を浴びている。歯科医療も例外ではなく、特に歯周治療分野では盛んに再生医療の日常臨床への応用がされつつある。

前回の記事 では、エナメルマトリックスデリバティブ(以下、EMD)を応用した術式と通常のフラップ手術、両者を比較した場合にどれほど歯周組織は改善されるかということについて解説を行った。

連載『歯周組織再生治療の今・未来』第3回では、こんにちの臨床でも応用されるGTR法がいったいどれほどの効果を有するのかを、フラップ手術と比較して検討してみたい。

GTR法、これまでの30年

GTR法の歴史は意外にも古く、30年以上にわたり行われている。1970年代、Nymanらが遮蔽膜を用いた歯周組織の再生治療(現在のGTR法の土台となる治療)を編み出し、歯周組織再生治療への糸口をつかんだことがきっかけだ。

初期のGTR法は、e-PTFE膜(延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜)という非吸収性の膜を使用していた。長年の研究により、コラーゲン膜や合成高分子膜などの吸収性の膜が開発され、臨床応用されている。

なお、吸収性膜と非吸収性膜を比較してみると、アタッチメントゲインをはじめ、臨床効果は同等であるという報告が支配的だ。

骨内欠損にはGTR法が効果アリ

日本歯周病学会が行ったGTR法の効果についてのメタ分析によれば、フラップ手術と比較した骨内欠損に対するGTR法では、臨床的アタッチメントレベル(CAL)で1.22mm、プロービングポケットデプス(PPD)で1.32mmの付加的な効果が得られるとされた。

リエントリーを行い骨の形成量を比較した研究では、GTR法の方がフラップ手術よりも1.39mm形成量が多かった。

Ⅱ度の根分岐部病変にもGTR法は良好な成績

Lindhe、Nymanらが1975年に示した根分岐部病変示したは、以下の通りである。

  • Ⅰ度:根分岐部にプローブは入るが、歯の幅の1/3以内
  • Ⅱ度:根分岐部にプローブが1/3以上入るが、貫通はしない
  • Ⅲ度:根分岐部にプローブを入れると、プローブが貫通する

下顎大臼歯のⅡ度根分岐部病変では、GTR法はフラップ手術と比べて1.51mmの付加的な効果が得られた。閉鎖率では、Ⅱ度の根分岐部病変でフラップ手術では0%であったのに対し、GTR法では66%の閉鎖率が得られたとされる。

しかし、Ⅲ度の根分岐部病変に対しては、GTR法でも上顎は0%の閉鎖率、下顎も38%の閉鎖率にとどまっている。

日本歯周病学会が出した結論は

GTR法は骨内欠損やⅡ度の根分岐部病変においては有意なアタッチメントゲイン、骨内欠損の改善が認められるため、行うことが推奨される。しかしⅢ度の根分岐部病変に対しては、歯周組織の再生が得られるという明確なエビデンスが無いため推奨することはできないと、日本歯周病学会は結論を出している。

参考文献

  • 特定非営利活動法人 日本歯周病学会『歯周病患者における再生治療のガイドライン』2012.
  • Needleman I, Tucker R, Giedrys-Leeper E, Worthington H.Guided tissue regeneration for periodontal in-trabony defects:A Cochrane Systematic Review.Periodontol 2000.2005;37:106-23.
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  • Jepsen S, Eberhard J, Herrera D, Needleman I.A systematic review of guided tissue regeneration forperiodontal furcation defects:What is the effect of guided tissue regeneration compared with surgical de- bridement in the treatment of furcation defects? J Clin Periodontol.2002;29 Suppl 3:103-16;discussion 160-2.
  • Pontoriero R & Lindhe J.Guided tissue regeneration in the treatment of degree III furcation defects in maxil-lary molars.J Clin Periodontol.1995;b22:810-2.