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歯科医療者のみなさんは、何のために仕事をしていますか?

お金のため?生活のため?休みのため?人との繫がりを持つため?楽しいから?生きがい?患者さんを救いたい?社会貢献がしたい?人によって様々な目的があると思います。

もし働く必要がないぐらいお金があったとしたら、みなさんは働くでしょうか。お金のために働くという方は『働かない』というでしょうし、他に目的がある方は『働く』というでしょう。

仕事があるから休みを楽しめるという考えもあります。仕事がなかったら休みが休みでなくなってしまうのです。きっぱりお金のためという方は、正直者ですね。そんな働き方もあると思います。

何を目的として仕事をするのか。それは重要な意味を持ちます。

「好奇欲求」と「内発的動機」

例えば自分の好きなこと、趣味を思い出してみてください。友達とおしゃべりをしているとき、買い物をしているとき、本を読んでいるとき、スポーツをしているとき、音楽をしているとき…気づいたときにはもう帰る時間なんてことはありませんでしたか。

人間は好奇心旺盛な生き物です。それを好奇欲求といいます。夢中で取り組んでいる趣味があったとき、それがおもしろいと感じていれば時間を忘れて没頭しています。取り組んでいるときは、やっていること自体が楽しいので報酬は望んでないですよね。これを内発的動機といいます。

ところが、夢中で取り組んでいたものでも、報酬を得ると目的が変わってしまうことが明らかにされました。

報酬を得ると好奇欲求が無くなってしまう

心理学者のデシは、外からの報酬は内発的動機づけを低減する、と主張しています。つまり、報酬は好奇欲求をなくさせる、というのです。

この考えを実証するためにデシは、大学生に立方体を組み合わせていろいろな形態を作るパズルを4題出しました。その際、実験群には決められた時間内にパズルを解決すれば、1題につき1ドルの報酬を与えるとしました。一方、統制群には報酬については何も言わず、支払いもしませんでした。

実験の後、彼らが何をしてもよい自由な時間を設定し、その間のパズルに対する興味、つまりパズルで遊んだ時間を測定しました。

その結果、報酬をもらった学生は自由時間になるとパズルをやめ、報酬をもらわなかった学生は報酬をもらった学生の倍もパズルで遊んでいました。報酬をもらったことにより、内発的動機づけが低くなっていることが示されたのです。

それは、内発的に動機づけられた行為が外的な報酬を獲得することで、その行為の原因を内的要因(好奇欲求)から外的要因(報酬)に変更したからです。

報酬をもらわなかった学生は、パズルがおもしろいからパズルをしています。つまり、パズルをすることが目的であったのに対して、報酬をもらった学生は報酬の存在を知ることによって、パズルをすることは報酬を獲得するための手段である、と考えるようになってしまったのです。

その結果、内発的動機づけが低くなり、代わりに外発的動機づけが高くなります。そして、もはや報酬が得られない自由時間になると、パズルで遊ぶことに興味を示さなくなりました。

何のために仕事をするのかを考え直す

仕事は働いた対価として報酬(給料)をもらうので、完全無償はボランティアになりますが、働くことの目的がお金に限定されたとき、その仕事はただの作業になってしまうのではないでしょうか。

1日24時間のうち、身支度・通勤・お昼休みを入れたら仕事の時間は約12時間です。睡眠が7時間だとして、残りの自由時間はたった5時間です。一日の半分以上が仕事をしている時間なのです。

せっかく同じ時間を過ごすのであれば、「かったるい」と言いながらただ時間が過ぎるのを待っているよりも、楽しみながら取り組んであっという間に感じられたほうがずっといいですよね。

何のために仕事をするのか“、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  • Deci,E.L.(1980)The psychology of self-determination.D.C.Heath&Company.

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